旧来の産業を革新するには、どこから始めればいいのか?
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旧来の産業を革新するには、どこから始めればいいのか?

2008年、ビデオ・DVDレンタルチェーンのブロックバスター社CEO ジム・キーズが「競争という意味では、RedBoxもNetflixも我々のレーダーに映っていない。」と指摘したのは、スタートアップ界隈では有名な話です。

だが、彼はこうも言っていました。「Wal-MartとAppleも同様だ。」と。

しかしブロックバスター社は、インターネット動画サービス等の台頭に対して新興技術やビジネスモデルの革新を取り入れることが出来ず、2010年9月に連邦倒産法第11章を申請してあえなく倒産しました

大手企業はブロックバスター社のような運命を避けるため、イノベーションに関する対策を講じてきました。これらの企業は、イノベーティブな企業となるべく様々なベストプラクティスを参考にしてきました。

実はその代表例が保険業界です。保険業界は、米国だけでも約1.5兆ドルの資産を保有していますが、破壊的な変化、あるいは漸進的な変化を受け入れるのが遅かったのです。この2年間、保険会社はスタートアップへの取り組みを加速させ、業界に革新的な変化をもたらそうとしています。

歴史が長く、変化が乏しい保険業界は、「いったいどこからイノベーションを始めればいいのか?CRMもないのに、どうやってこの新しいテクノロジーをファイルキャビネットに統合すればいいのか?」と頭を悩ませることがよくあります。30年の現場経験を持つスタッフが多い中、デジタルトランスフォーメーションの重要性を理解してもらうのは大変な作業です。

大手企業がイノベーションを起こせるのは、トップの賛同を得られたときだけであり、それができて初めてイノベーションが組織の優先課題となります。大手企業が真の意味でイノベーションリーダーになるためには、コーポレートベンチャー部門、ダイナミックな企業文化、永続的な戦略的パートナーシップなど、多くの要素が完璧に調和する必要があります。
このイノベーションに重要な要素を語るうえで、Plug and Playの企業パートナーであるUSAA社、Nationwide社、Munich Re社から貴重なインサイトをいただきました。

コーポレート・ベンチャーキャピタル

大手企業は、自社のエコシステムの中で起業家とより深く関わるために、株式投資部門を設けることがあります。USAAは、2010年に自動車購入・価格情報プラットフォームであるTrueCarへの投資を通じて、保険会社としては初めてベンチャー部門を設立しました。その後、10社以上のスタートアップに投資し、イノベーションラボを設立するなど、イノベーション文化を組織全体に浸透させています。
CB Insights社によると、保険会社による投資の総数は、前年に比べて劇的に増加しています。他の保険会社もこれに続いています。Nationwide社は、2017年に独自のベンチャー部門を立ち上げ、6社のスタートアップと提携し、パイロットテスト等を通じてスタートアップとの連携を模索しています。

イノベーションラボ

イノベーションラボは、自社ソリューションの研究開発を通じて組織のペインポイントを探し出します。重要なのは、組織の成長と規模に影響を与える可能性のある最新技術を常に把握することです。

USAA社はこれを次の段階まで引き上げるため、エンジニアに対してイノベーションのタネを生み出す機会を与えています。
また、USAA社のエンタープライズ・イノベーション・エグゼクティブ・リーダーであるミック・シモネリ氏は、職場にイノベーション文化を根付かせることに重点を置いています。

「このプログラムでは、オープンな従業員エンゲージメントプログラム、継続的な(漸進的な)イノベーション、革命家を育てるの3つの方法のいずれかでイノベーションにアプローチしています。新規アイデアは失敗のリスクが高く、必ずしもROIベースではないかもしれませんし、ビジネスリーダーの意向に反することもあるかもしれません。しかし、それでもアイデアの追求を止めることはありません。なぜなら、慣習に挑戦することこそがUSAA社のイノベーションだからです。」


企業文化の重要性

投資や研究室から生まれるイノベーションは、あくまで一面に過ぎません。大手企業における文化的なパラダイムシフトは難しく、価値観や信念、行動様式はすぐには変わりません。Munich Re社のロバート・モザイカ氏は、「どの企業にも企業文化があり、社内独自の行動様式があります。それらを活用したうえでイノベーションに適応するための方法を見つけるべきです。ただ本を読んで、これが我々の従うべきモデルだと言うことはできません」とロバート氏は続けます。

「Googleをお手本としようとする役員がいますが、それは無理な話です。なぜなら、自分が率いているのは大きな保険会社であり、決してGoogleのようにはなれないからです。だからこそ、あなたの会社で効果的なやり方を見つける必要があります。イノベーションを戦略の中心に据え、アソシエイトに独自のプロジェクトを任せて創造性を発揮させることは賢明な方法です。
3M社は、アソシエイトに「自分の時間の15%を個人のプロジェクトに使っていい」と伝えた最初の企業のひとつです。創造的な思考を持つ人たちを刺激するためには、組織がそれぞれの心の中に眠っている起業家精神に火をつける必要があります。
​​Intuit社もそれに倣って、刺激的で革新的な文化を作り上げました。Intuit社の共同創業者であるスコット・クック氏は、「それは我々の意思決定の方法だった」とシンプルに述べています。意思決定に影響を与える場合、若いアソシエイトはCEOと対話できるかもしれないという希望をもって、あらゆる手を尽くし、どんな困難でも乗り越えようとします。しかし、Intuit社はリーダーとしてどうすればこの障壁をなくすことができるかを考え続けた結果、試験的な実験を行うことで、机上の空論ではなくアイデアを実際に実行できる制度を整えました。これはまさに、大手企業の中にある起業家精神が表れた事例です。
また、Nationwide社は、創造的思考に関しても同様の方法を採用しています。Nationwide社は、イノベーション文化に影響を与えるハッカソンやアイデアジャムを開催するための財源を確保しています。Nationwide社のイノベーション担当ディレクターであるジェン・スローイ氏は、当社には数多くの革新的なコア技術とそれに隣接する技術があり、ガバナンス、アソシエイトの参加、革新的な方法論などのインフラを整備することで、イノベーションを生み出すことができると信じています。

戦略的パートナーシップ

新しいエコシステムを活用し、そのネットワーク効果を利用することで、社内のイノベーションラボやベンチャー企業の活動範囲を飛躍的に拡大することができます。保険業界のように幅広く、また他の業界にも影響を与える業界では、新しい技術を理解することは非常に重要です。

このようなパートナーシップには、無数の異なる投資家、革新的なエコシステム、インキュベーションプログラムやアクセラレータープログラムとの連携が含まれます。特に後者は、企業の経営者がアイデアや技術の初期段階から競合他社よりもはるかに早く関与することができます。さらに、スタートアップ企業への早期の関与・参画により、企業の方向性や成長に対してより大きな影響力を持つことができます。
Plug and Playでは、このような大手企業に見られるような成功を目指しています。2016年5月に4つの保険会社と「Insurance Innovation Platform」を立ち上げ、現在では1年足らずで35社以上の企業メンバーを抱えています。結論から言うと 社内のイノベーションを構造化するアプローチはたくさんあります。問題は、あなたの会社にとってどのような構造が有効かということです。

(本記事は、Plug and Play HQに掲載されている記事を翻訳したものです)

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